ナパーム
通称ナパーム、ガソリン系の爆発でセメント爆弾と並んで 使用される事が多いので、特撮やアクションで(一般には名前は 知られて無いかもですけども)見覚えのある爆発だと思います。 このガソリン系の爆発は、セメントよりも効果が大きく派手な 見栄えがありますが、大変危険で近くに居ると視覚的にも本能として 恐怖を感じ、熱風がやってくるので体感的にも怖い爆発です。 どの爆発もそうですが、気化爆破は風(向き)が大事で、無風が 一番ですが判断の難しい状態では、操演のボスが中止と言えば どんなプロデュサーやスター俳優が忙しくて時間がなくて反対しても 撮影部も照明部もスタッフは絶対にボスの意見に従い撤収します。 *それほど効果はあってもホンとに危険な爆発の種でスケジュールの 問題も解り迷いが出るのは解るので、撮影部はカメラが無いと 諦められるので、まっ先に固ずけてしまいます(^^;
危険なのと予算や場所の確保などの問題から最近は CGでナパームは合成する事が多く、実際はミニチュアで ないと出来なかった、工場などの大爆破まで簡単に出来る ようになりましたが、撮影素材は撮影所の外で小さな 爆破をGバックなどで撮影しています(^^; *CG合成で一時大きなナパームは消えつつありましたが やはり人物との生の爆発の威力は画面での違いも大きく 戦隊モノなどでは、フィルム時代のような大きなナパームが 今も使用されています。 *ナパーム・ほぼ通じる業界用語ですが撮影所や制作会社で 異なります。元は米軍の兵器のナパーム弾の名前で ナフテン酸とパーム油などの油脂焼夷弾。
ガソリン系の爆発は、スタジオ内での大きなモノは今は安全や 消防法などからも出来ませんが、小規模のものでもスタジオ内で やる時は引火しやすいものは全て外に出します。 特撮セットのカポック(スチロール)の山や岩なども 例外なく外に出して撮影します。 *砧撮影所の旧11番ステージだけは、円谷英二さん専用の特撮 ステージでコンクリートの壁なので大きな爆発も撮影可能でした。 現サウンドスタジオの奥にあったが同録は無視した作りだった為 年数も短く解体され現在はありません。
ナパームは危険なので詳しくは書きませんがガソリンの 入ったビニールに気化する割合の空間を確保して 台(フライパンに穴が空いたのとか)に乗せ下に火薬をセットします。 リハーサルの時は番号などを置いて助監督さんなどが 口で爆発音を言ってくれますが、本番は当然目印が無く 場所を記憶しなければなりません。 埋めれないor埋めない効果が欲しい時などは石などで 隠すので比較的簡単ですが、命がけの緊張の中で 記憶する事は簡単ではありません。 *火薬の取り扱いは、発破技士や資格所有者が規定の範囲で 行なう以外は犯罪です。 *発破技士・爆発物取扱いの厚生労働省認定の国家資格を持つ。 *通産省の資格 火薬類製造保安責任者・火薬類取扱保安責任者
火炎
火炎の効果と言うのは絶大で、何も無いセットでも 画面に迫力が出る程です。 *特に子供には本能的に赤い炎は効果が大きい。
炎は効果はありますが危険が伴うので、出演者の居るカットでは カメラと被写体の間に炎を起し、遠近感で近くに演出します。 *プロパンガスの性質を利用して箱に貯めたガスを燃やしますが 量(ガス栓)や燃やし方には専門的な経験と知識が必要です。
さらに火事の中に主役が逃げ送れた人を助けに飛び込むとか 悪のボスが燃えるガレキの下じきになって死ぬなんて 言うシーンや、消防が主役の作品などで火の中に居るような カットを見た事があると思いますが、これらも遠近法の他に よく使うのは、ミラーを仕込み実際は火は遠くですが 火の中に居るように見せる特撮があります。
役者の左右にミラーを置き、カメラからは黄色い線の 反射の画が映るような角度を探して設置します。 大きな火の場合は、この黄色い線をより遠くにして調整します。
偽火
本物の火が使用できないスタジオや、重要文化財などの建築物の 側や敷地、樹齢百年以上の木、国立公園など画になる場所では 本物の火が使えない事が多く、特に時代劇は、寺や神社など 古い建築物を借りる場合は、偽物の火を造ります。 焚火などは、耐熱色フィルムの中に電球を仕込電圧を 不規則にスライダックなどで強弱をつけ、塩化チタン*右参照 などの煙をプラスしたりします。*スライダック電圧調整出来る機械 あとは、効果音でパチ、パチ、入れて役者さんの芝居で だいたいバレません(^^; 他にも白い布を破き下からファンでヒラヒラさせた布に 赤や黄の照明をあてるなど、いろいろ工夫します。 *特に火が禁止じゃ無い所でも、プロデュサーの判断で、歴史ある 建物の側などは本物の火を使わない事は多く、特撮作品でも 昔ほど神社やお寺などが使用されなくなっています。
フォグ(メーカー)
特撮セットで巨大感や、セットの奥行きを出すなどに 必ず使用されるのが、フォグメーカーで本番直前に 散布します。 広いロケなどでは棒の先にフォグの 発煙筒を着けて、操演の助手さんが走り廻ります。 *さらに広いと助監督から撮影助手まで大勢が棒を 持って走り廻ります(^^;
二酸化炭素(炭酸)
通称炭酸(炭ガス)視覚的に白い煙が噴射するのに使用され ロケットの発射前や、最近は本物のSLの煙突を撮影しますが 一時期SLがほぼ無い頃は、煙突の煙が噴出す汽笛の アップ画像(ホントは汽笛は別(^^;)に使用されたりしました。 *ボンベは放出中持つと手が張り付くので注意 今はバラエティ番組のゲストの登場などで扉近辺に噴出す効果や クイズの不正解のバツとして使用される方が目にします(^^;
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セメント(石灰)爆弾
通称セメント爆弾(さらに略しセメントでも通じる(^^;) 火薬でセメントの粉を吹き上げる爆発で、ナパームと違い 画面では効果音が付き迫力がありますが、現場では ナパームよりは安全とされ、車やバイクなどで爆発の 中に入ったり、車輌に爆発が重なるように意図して 爆発させる事も可能です。 *最も有名なこの爆発のカットは、仮面ライダーV3が ハリケーンでジャンプするバックに背負う姿は 特撮に限らず日本を代表するような名カットで有名です。
形や高さ、色なども仕掛ける元の工夫で自在に調整が 出来るのも特徴で、操演さんが自作の溶接した鉄パイプ などを地面に、テント止めのフックなどで固定します。 *高く吹き上げない時は袋にセメントの粉をそのまま入れ 爆発させたり、フライアッシュなどを使用する事もあります。 *フライアッシュ・硬化体組織が緻密になるセメントの一種で 爆煙が細かいので車輌などが1時見えなくなる演出や 吹上げの下を飾りボリュームを出すのに使用する事が多い。
発火スイッチ
特撮セットなどで、順番に攻撃を受けるとか順番に崩れる など、連続した爆発の時に使う発火装置を 通称三味線と言いますが…どう見ても大正琴です!(^^; 例えばホーク1号がまず攻撃、怪獣が吠えた後に3号が 続いて攻撃と言うのを1カットで撮影する時は ピアノで言うと、ドレミファソラシドの赤が1号、青が3号で 吠える所の時間分は火薬を接続しません。 それを左から右へ電極棒を走らせて通電させると つないだ音の所のタイミングで通電>爆破が起きます。 *操演さんの自作なので形なども様々ですが仕組みは同じ で、撮影監督との打ち合わせもパン・パン・・・パンとか カスタネットのレッスンのような打ち合わせで知らない人が 聞いたら音楽の打ち合わせに思えるかもしれません(^^;
連続ではなく同時に複数のモノを爆発(破壊) させる時には、スイッチボックスを使います。 5人のヒーローのバックで各色の爆発を同時に 爆破させたいとか、複数のミニチュアビルを同時に 崩すとか、大きな石膏模型に数箇所細かく仕掛けた 火薬でバラバラに壊す時は、その仕掛けた線をボックスに 集めて発火スイッチのグリップボタンで(画左)一発で 爆破させます。 *このボックスも操演さんの自作なので、仕掛ける数で 大きさが変ったり2連にしたりして使います。 鍵付きでスイッチャーさん以外が万が一触っても 作動しないように工夫したタイプもあります。
石膏ビルの裏面は、まず無いので裏からコードを通して 仕掛けます。崩すモノAと爆発そのモノを見せる仕掛け方や ガラ(ガレ)などを火薬の廻りに起きB吹き飛ばす効果も 狙うなど仕掛ける位置で、石膏の壁に亀裂を入れたり 1度崩して乾きの遅いパテなどで修復して様々な 破壊するタイプの光線や地震などを表現します。 *ガラ(ガレ)以前崩した石膏の破片。 *ベビーパウダーや軽い粉を屋上や各フロアに撒く事で 崩れるとビルから土煙が巻き上がる表現を付けたり フラシュ(マグネシュム)を仕込んで電気のショートを 再現したりもします。
最近はラジコンなどが安く精度が良くなっていますので あまり見ませんが、昔はアクション俳優の条件に自分で 発火スイッチを解らないようにニギリ>押して演技をすると 言うのがありました。*刑事などは血のりを仕込。 昔の映画のロングSでは、明らかに今押したと解るような カットも量産時代には、けっこう見られます(^^;
昔の光線などの弾着の爆発は、撮影中には光線は 見えないですから、Sアクターさんの癖などポーズを 決めた数コマ(1秒がノーマルで24コマ)後に 爆発しなければならない神技で、後で合成される光線は 光線なので速く4~16コマと言う1秒以下の秒数です。 しかも爆発(爆炎)をややスローでちゃんと見せる為に ノーマル速度より上げる事も多く、さらに困難な状況での 判断はプロ野球選手が150Kmの球をミットに届くまでに 打つかどうか決める反射的なものに近く 操演とSアクターの呼吸に任せる他ありませんでした。 *少しずつ1つのフレームではなく、ヒーロー(光線元)と 怪獣を別カットにしたり、光線も爆発も合成やCGで 処理するようになってしまっていますが 今でも残る伝統の技です。
火花
どうしても特撮のキャラのスーツでは剣の戦いは 動きが制約され、表情が無いので迫力が出ない事が多く 火花をクロスした時に出したり、近辺の柵や柱などに 剣が当たると火花が派手に出る演出をほどこします。 主に黒色火薬(おもちゃ花火などの火薬)で 色などの演出をプラスする時は過塩素酸塩の少し威力の ある火薬を使用します。簡単に書いておくと 赤>ストロンチウム 緑>バリウム 青>銅 黄色>ナトリウム 紫やピンク>銅とストロンチウム 銀色>アルミニウム などを混ぜて色を出し、その混合で中間色を作ります。 必殺技のような大技では、マグナリウムを使う事が多く チタニウムなども時に使用します。 *マグナリウム・アルミニウムとマグネシウムの合金で 火薬に混ぜ派手な爆破を演出するのと、ウルトラでは スペース+マグナリウム=スペシュウム光線 エメラルド+マグナリウム=エメリュウム光線 など、必殺技のネーミング素材でもあります。
塩化チタン
通称塩化チタン(正しくは四塩化チタン)は、飛行機の 不時着跡や、火災現場の跡などに使われる事が多く 銃で撃たれた跡を解りやすくしたり、演出効果を高めるのに 使用される煙を作り出します。 子供頃は銀球鉄砲とかで撃った後の煙を口で吹く 動作とかをやった事がある人が多いと思いますが 昔のアクション映画や西部劇の演出で、コレも銃口に 塩化チタンを使い出してる煙です。 *四塩化チタン・チタン鉱石を高温で反応させて製造され 主にポリプロピレンの製造に使用する中間材料で 水分に反応し白煙を生じる性質があり、直接は航空文字や ガラスの着色に使用されます。 取り扱いは強酸性溶液でもあるので専門家が扱います。
キャノン
通称キャノン、キャノン砲とも呼ぶ。チッ素を 噴出す威力ある兵器?(^^; セメントを噴出せば爆発にも見えるので、コントなどで ベビーパウダーや、小麦粉などを爆発させ コメディアンを白髪状態にさせる事もよくある。 時代劇の大砲や戦車の砲門などに使用されるたり コンサートや近年の年末の紅白のラストには 銀紙などを吹き上げる演出にも使用される便利な チッ素砲です!
ドライアイス
ドライアイスマシン、はやい話、上からドライアイス*を 入れて中でお湯で溶かしファンで送り出す機械(^^; 特撮だと冷気として冷凍怪獣や、森林で迷う足元に はわしたりするのに使用されます。 コントやドラマの夢のシーンなどでは、雲の上だとか 滝の水の変わりに煙が流れてるのに使用されたり 歌番組などの演出など、重いので床をはう性質を利用し 使われます。 ウルトラセブンでは警備隊の基地を冷気で覆った♪ *ドライアイスコーポレーションが1925年に炭酸ガスを 固体にし売出した物で、炭酸と成分は同じ保冷材。
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