ウルトラマン
27話・怪獣殿下・後編
画面的には、ミニチュアモデルのみの大阪城天守閣
極楽橋を渡った所から山里丸の刻印広場*方行(図青→)に ハヤタ、イデ、アラシがかけ上がって行く階段で 画面右奥の石垣は平成(7年)の大改修で ほとんどが変更されていて、手前の石垣も下から 2.3段目の石は新しいモノに変っています。
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ハヤタの後ろにイデ、アラシの3人が構え 後方に自衛隊員のエキストラ4人が構えるカット。 ハヤタの左横の一部と、自衛隊員の立ってる左横の石垣は 新しくなっています。 *腰を落とした自衛隊員(右の人)の辺りには 今では太陽電池式の外灯が置かれています。
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ゴジラの逆襲の小田基義監督の城内での攻撃演出を 円谷一さんが参考にしているのは、明らかですが 科特隊3人の背後の土手から降りて来る自衛隊員の配置や 動きなどは、ウルトラシリーズ最高の予算に恥じない 目の前にゴモラが居るかのような迫る演出が特に光るカットです。 *ゴジ逆は本田猪四郎さんではなく透明人間1954年の 小田監督が抜擢され、本多監督は、55年に田中友幸Pと恋化粧 おえんさん・獣人雪男の3本を撮影、56年に東京の人さようなら 夜間中学 ・若い樹を撮りながら56年12月の初のカラー 怪獣映画、空の大怪獣ラドン の準備に入っていた。
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科特隊の3人が石垣の上を走るカット、ハヤタは危ないから? 少しだけです。(^^; 図→●画像右の木はまったく当時の画面には 無いですが、木のすぐ左にある石垣上の右上の角が 三角にヒビが入っているのが、当時の画面の 右に居る自衛隊員の下に確認できます。
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イデ、アラシ隊員が右上段に走り跳び上がるカット抜けに見える木は 逆に今は無く、高層ビルが見え、石垣も新しく組まれているものの 石のサイズやパターンが同じなのが解ります。 ハヤタは主役で危険だからか?このアクションはやりません。
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図→● 科特隊が走っていた石垣の上にゴモラと 天守閣(壊モデル)が合成されています。 カメラは城の外向きなので、本当の天守閣はカメラの 後の位置にあります。 ゴモラの上下の合成だけで3カットあり 怪獣殿下のロケ部分だけで18カットもの合成カットがある。 *1期の合成は35mmで撮影されている為 上下の合成は簡単に計算しても上と下・完成分の フィルムがいるので時間×3倍の35mmフィルムが必要。 *ウルトラセブンU警備隊西へは前後編でわずか2カットのみ
合成画面のサイズ らかにサイズが 大きいです。コレはウルトラQ東京氷河期などの ぺギラのビル谷間の合成カットなどと同じく放送当時の TV画面のサイズから逆算して迫力を出す為に 怪獣の顔を入れ込み出来るだけ、画面いっぱいに構成した為で 現在の大きなモニターで見ると、少し違和感の あるサイズになっていますが、コレも特撮の大事な要素の イメージを優先させた結果です。
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殿下(少年)が、身を隠していてイデとアラシに見つかるカット。 奥に柵が出来た以外、石垣もみごとにそのまま残っています。
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見つかった後カメラ手前に殿下が逃げ アラシとイデが確保しょうとするカット左奥に●と同じ石段がある。
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殿下がアラシ隊員に捕まり振り解き まだスペシュウム光線を放っていないのに 「勝った!」と言ってしまう所 3ショットのロング。画面右にある緑はせいぜいアラシ隊員の 1.5倍くらいの低い木ですが、すっかり成長しています。
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ウルトラマンが飛び去った後、階段を降りて来た 殿下(少年)が、ハヤタに(カメラ方向)走って行くカット。 画面に映る細い2本の木が、今では立派に育っています。
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背景の石段。一番上だけが半分手前が無いのも画面と変らず。
殿下がハヤタにかけ寄り流星バッチを貰う所→と●の間 ハヤタの斜め後にあった木はやや傾いて成長していました。 奥の柵が無いと…雰囲気的にはいいのですが(^^;
特撮世界のリアル
フィクションの物語は、言い方を代えれば全て嘘の創事であり 夢の世界ですが、特撮は特にその夢の%が大きなジャンルで 画によるイメージも、必ずしもリアルなものより嘘の方が より効果的に夢見る力になる部分であり、怪獣やウルトラマンの 存在と言う夢を楽しんでる、夢中には大事な要素です。 ただ、コレも現実と混同してしまい天守閣はウルトラマンと 同じくらいだから40mと思ってる人がまれに居ますが(^^; 現在の昭和タイプの天守閣(図青)は、54.3mとウルトラマンや ゴモラよりも大きく、昭和6年には他に無い程の超高層建築物でした。 図緑の天守閣が、豊臣タイプで比べると低いですが当時としては 外観5層の木造建築はとても高いものでした。 最も高かったのが、徳川タイプで58.5mと昭和の鉄筋より高かった。
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極楽橋・近辺
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科特隊専用車が走行してくる道 内堀脇の二の丸にある極楽橋*側で 今も柳が等間隔に植えられています。
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科特隊専用車から3人が降りた所。 すぐ背後にあった木は、画面では掘の 方向に倒れていますが、真っ直ぐに直されています。
科特隊専用車を停めた側にある極楽橋* 配置に着いた自衛隊員の間を、ハヤタ、イデ、アラシが 走り渡っていくカットで図●から撮影されていて 天守閣をフレームから外しています。
怪獣殿下のロケでは、本物の天守閣は 管理箇所の違いによる許可の問題で撮影していません。 本来なら極楽橋から大阪城へ向かう画と しては天守閣を入れれば絶好の位置↑です。
極楽橋 何度かの架け替え後、明治維新に焼失 現在ある極楽橋はS40年撮影の前の年に 造られた鉄筋コンクリート製で高欄のみ木製です。 長さ54.3m 幅4m
殿下がベーターカプセルを右手で ハヤタ隊員(カメラ方向)に向けて差し出す 背景が、図のピンクの線の石垣で石が小さい壁です。 *イデ、アラシ越しの上下合成でゴモラが 天守閣を壊すカットの下画もこの石垣です。
図● ゴモラをウルトラマンが倒した後 イデ、アラシと共に殿下が降りて来る階段(写真右側に残る) 今は左側にはバリアフリーの坂が作られています。 階段上に見える白い石像は、もうありませんでした。
ゴモラの死体が図●の位置から見下ろす位置に ある設定での芝居で、目線方向は天守閣と逆なのは よくある映画の手法なのですが イデ隊員の台詞で大阪城を語る時に後方の 本物の天守閣に目線を振っているのが、面白いです 監督もカメラマンもOKにしてるのもロケ地に居る人間が 感じる天守閣の存在感の成せる技かもしれません(^^;
上の画像の階段上右側の石垣のパターン。 当時の画像と比較しても変りなく存在します。
階段のカットの左の石垣(↓赤)は、右と同じような距離に あるように見えますが、実際はかなり奥にあります。 今はコケやツタで緑になっています。 石像があった辺りも坂の為か?改修されています。
大阪城は500年☆ゴモラは1億5千年 イデ隊員がゴモラを倒した後に言う台詞にある 数字ですが、実際S41年にロケ地にあった(ある) 天守閣は昭和6年に造られた鉄筋コンクリートのもので 数字以外の価値は外して書けば、わずか35年の建物 でしかなく、むしろ天守閣よりも門や倉などの重要文化財に 指定されている方を科特隊は守るべきだったと言えます(^^;
近畿地方の人は、学校などで訪れS6年に出来た物だと 知ってる人が多いのですが、関東のウルトラ世代には このイデ隊員の台詞を真実だと思ったままの人もいたりします(^^; 夢の世界での設定も大事ですが、実際の歴史も大事なので 一応書いておきます。 細かく言うと大坂城は1583年ですから500年は経ってなく ウルトラマンの設定の1980年代だとすっると、大阪万博と クロスして不思議な年代設定になります?(^^;
大阪万博☆ゴモラ ウルトラマン放送後の1970年に、開催された大阪万博は Qちゃんも母の実家が大阪なので2度程行っています。 もちろんゴモラの剥製は展示されてませんでしたけど 当時の子供向けの雑誌などには、何故か?太陽の塔の中に ゴモラや他の怪獣達が、展示してあるかのような絵が 載っていたので、Qちゃんはエレキングとかが居るんだと 思い並んで半失望して出てきたのを覚えています(^^; *実際は生命の樹というパビリオンでエスカレーターで 地球進化のパノラマが見れた。その中の恐竜の部分は 唯一子供には面白かったです。(^^;
大坂(阪)城☆略歴
明応6年(1497年)大坂城の元・浄土真宗総本山石山本願寺 天正11年(1583年)豊臣大坂城築城。 1615年・徳川との大阪冬・夏の陣を経跡形もなく消される。 元和6年(1620年)徳川が豊臣大阪城に対し再建 (1656年)約36年後落雷で炎消。 *以後昭和6年まで275年間天守閣は無い。 1871年~明治維新後、軍用施設として利用 新政府軍が大阪城にまで進軍時、大台所から出火。 天守閣以外の大部分が焼失。 昭和6年(1931年)大阪市民の募金で再建・豊臣 徳川とも違う第三の天守閣。 (徳川タイプに近いと言う説だが写真がある訳ではなく不確) 平成9年(1997年)平成の改修工事 外壁、装飾部品、 金箔の押直しなど震度7にも耐えられるように補強された。
ゴモラが現れた所?
ゴモラは、ミニチュアの市立博物館(旧第四師団司令部)が 戦車隊左にあって現れるので、天守閣南の 桜門外側から来ています。*市立博物館・ゴジ逆で使用
ウルトラマンとゴモラが戦った所?
戦った所は、旧徳川時代の天守閣があったと言われている 図の天守閣右(東)側のようで、身長から算出すると 人間同士が8畳ほどのスペースで格闘するスペースは ちゃんとある事になります。 科特隊も実際のロケは、北側の刻印石広場でのロケですが アングルや位置関係を作品から割り出すと、科特隊はちゃんと 桜門と天守閣の間に居たようで、ロケ地と作中キャラの行動を 照らし合わせると、円谷一さんがよく考えていたのが解ります。
TV番組?TV映画?
怪獣殿下とウルトラ警備隊西へはスポンサーの 好意により遠征ロケがあるイベント作品で、どちらも まったく違うカラーの傑作です。 怪獣殿下はいい意味で言えば、ストレートに大阪城を壊す クライマックスの見せ場を中心にした正統派怪獣映画で 制作方法(予算)も超豪華です。 ロケの合成カット数も書いたように、怪獣殿下が18 U警備隊西へはわずか2カット(スクリーンプロセスが2) 2カットは確かにスケジュールの問題もあり少ないですが 18カットは前後計47分ほどの番組に、35mmカラーを 使うにしては多すぎます。 力の入れ方が解るとも言えますが、この制作方法が理想では ありますが39話で終わってしまった原因の1つでもあります。 一番は大阪城の壊モデル(壊さないモデルの方が安い)が ゴジラの逆襲以上によく出来ていて、よい壊れ方をしてい るので何も言えないですが、予算的には今の金額にすると 4桁に近いとも言われます。他に壊ビルが2ケ 火薬も前後編共に凄い量で、戦車・砲撃車隊など特撮も凄いが ロケも空撮、ヘリ、軍用トラック、ジープ、パトカー×2と 自衛隊員・警官・警官隊などエキストラもカット数を考慮しても凄い 今の金額で衣装レンタルだけをを記してみても 警官(制服1.5万 帽子3000、ベルト警棒一式5000) 計23000円 自衛隊も、ヘルメットや小道具のライフルなどで3万程度で 画面に1度に確認出来る人数は6名程 子役(殿下)5名~学校。殿下の両親、子役の母親×5 探検隊×5(探検家・衣装、テント) 科特隊の新兵器なども、画面に小道具としてマルス133他 麻酔弾、探知機など新規で美術発注してる物も多く 大阪遠征ロケ以外の全てのパートで贅沢なのが解りもはや 映画規模と言え、今の30分TV番組の枠では考えられません。
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