宇宙怪獣・エレキング     

 デザイン・成田亨  造型・高山良策  S・アクター池田芙美夫 

★光跡

2匹のエレキング?

  

ウルトラセブンの白ラインと同じくエレキングの商品も
白いエレキングと、黄色いエレキングが今でもあり、フィルムの
裏焼きによる模様の反転などから2匹説まで出る人気怪獣ですが
もちろんスーツは1つです。モチーフはホルスタイン(牛)と
良く言われますがシロウミウシ
*最も白海牛の由来はホルスタインですが(^^;

湖ののひみつの恐怖

なぜ色の変化が起きたのか?それは撮影スケジュールと
青材(青剤)が原因です。
ゴジラの頃から水に浸かるシーンは、傷みを考慮して撮影順番を
その怪獣のラストに持ってくるのが普通でした。
セブンは
ウルトラマン終了から半年の準備期間がある事から
基地やメカニックの描写などのバンクカット*の撮影に
力を入れて撮影する事になり優先的に撮影が進みます。
*年間通して何度も使うフィルム(基地の発進や変身)
ウルトラアイ>ウルトラセブンは、水や宇宙の撮影のテストなども
兼ねた撮影の結果、作品の舞台を
ウルトラマンとほぼ同じ
フィールドに修正(*U警備隊研究室参照)オンエア日が
近くなって来た時間的面もありましたが、特撮セットの予算的にも
ウルトラ警備隊基地のセット(芦ノ湖)を、そのまま
制作第1話に使用した為、撮影順で
を頭に持って来てしまいました。


 そして、もう1つは特撮プールの海や湖の着色に長くT宝で使用していた
「青竹」と言う染料が、ウルトラマンの頃に*シアンが含まれいた事が
年代的に公害問題が盛んになって来た事から発覚

特に大プールの量を近くの川に放出するのが問題とされ

使用禁止になってしまいました
。*勿論知らずに使用していました。
*運わるくウルトラマンは特撮パートのスケジュールが遅れてる事から

番組継続の為に時間のかかる特撮プールの使用を禁止
されて居た為に、
青竹に代わる良材料を発見・開発する時間が無かった。

つまり、エレキングは最初の白い状態でプールに漬かる事に
時間的になり、まだ
青竹に変わるベストな着色料が見つからない
時期に漬かり…しかも白いと言う、怪獣としては特異な体色だった為
色が着いてしまったと言う事です。
*ミクラス戦後半も湖を止め陸になる。
*実際に使用されたのは、当時の着色料の類で緑茶カラーの入浴剤で
黄色い水だった訳ではありませんが、タングステンライトの
オレンジよりの照明と、フィルム撮影によって濃いクリーム色のような
黄色い体に変貌して見えた。
*対U警備隊のボートは外撮影なので薄い。

セットチェンジ>カラーチェンジ


 
作品時間的には、白いエレキングは登場から対ミクラス戦の湖の
戦いのみで、ミクラス後半の陸地
(これ以上色が着くと繋がらない)

セットや
対ウルトラホーク1号の川の流れるセットは、ワイアール星人や
イカルス星人のセットに移行しています。
下のカット割ナンバーで言うと
31までが白エレキング
編集的に
14黄色エレキングが挟まれていますが
他の60カットは黄色エレキングが画面で活躍しています。

エレキング登場・カット割
*エレキングの特撮部分中心
FS>フルショット(全身)2FS>2体の全身 俯瞰>真上からのアングル
マッチカット>1カメでアングルを変え同じ動きで繋ぐ事。



1、赤く光る湖面
2、水が吹き上がる
3、水吹き上がるロングS・エレキング出る。*Sアクターなしの為に反り返る。
4、エレキングUP・鳴く
5、ロングS、ダン合成・エレキング股下まで出てきてる。*スクリーンプロセス
(ビデオシーバー後)
6、エレキング胸まで湖面だが(また5のカットより沈んでる)
Sアクター入っていなく大きいシワ。
(ダンUガン攻撃)
7、エレキング首元に直撃。*湖面の位置5.6.7で全て違う。
8、エレキングUP*Sアクターなしでカメラノーマル速度
9、しっぽのUP *カメラ速度ハイS
10、口から光線(あばれる動作)*ノーマル速度
11、UP光線2発目*ノーマル速度
(ダン)
12.エレキング俯瞰S、イナバウワー!*3.6の繋がりの動き。
(ダン)*インサート
13、イナバウワーから3発目
14、ダンに近寄る*スクリーンP、ダンカプセル投げる。
*黄色エレキング初登場
15、白エレキングWS、胸の前で青い光2つ
16-17、ロング、ミクラスの光>ミクラス出現。
*同ポジのミクラス入れて繋ぎ(撮影2カット・作品1カット)
18、ミクラスUP
19、エレキングUP
20、ロング2S 2体前進*湖面16より少ない。
21、俯瞰、激突>後方へ*マッチカット
22、ミクラス尻餅>起きる。
23、エレキング起きるFS *水膝下
24、ロング、ミクラス寄る>エレキング動けず。
25、組み合う>カメラ側へ倒れる。*マッチカット
26、俯瞰、2体倒れこむ。
27、カメラWS、下エレキング、上ミクラス。
28、俯瞰、暴れるエレキング
29、ミクラスの目を尻尾で塞ぐ。UP
30、エレキング上に
31、ミクラスUP、攻撃受ける。
(U警備隊)
32、2体の格闘見てるダン*スクリーンプロセスNS
33、BS2体格闘
34、ダンUP
35、2体足元
36、2FS格闘、しっぽ*マッチカット
37、ミクラス、しっぽ巻きつくUP
38、ミクラス、しっぽで引き寄せられる。
39、FS格闘エレキング引っ張る。
40、エレキングなめ、ミクラス踏ん張り掴み投げに入る。
41、投げる。*Sアクターなし
42、エレキング叩きつけられる。>起きる。
43、ミクラスUP
44、エレキング光線
45、ミクラスFS攻撃
46、インサート、エレキングUP
47、ミクラスに包まれる。
(U警備隊・アンヌ)
48、エレキングUP>2FSへズームバック>エレキング逃げる。
49、追うミクラス。
50、ミクラスなめ、しっぽ来る。
51、ミクラスUP 体制崩れる。
52、エレ背中、しっぽ操るWS
53、ミクラスUPしっぽ2発目。
54、しっぽ空抜け
55、ミクラスUPしっぽ3発目。
56、エレキング振る向く
57、ミクラスUP
58、2FS・いつのまにか尻尾巻いてある。充電?*足元隠し
59、俯瞰ミクラスに巻きつく*逆回転
(ダン)
60、2S放電攻撃!
61、尻尾ほどく*59の正回転・同フィルム
(ダン・もどれ)
62-63 2FS ミクラス>緑の光>消える*登場と同じ(撮影2カット・作品1カット)
(ダン・ピット指示)
64、エレキングUP ポーズ(鉄人?)振向く
65、ロング、エレ歩く
ダン)(ホーク対エレキング)(ダン対ピット)
66、セブン変身>飛ぶ
(警備隊・ボート)
67、セブン、エレキングの背中へダイビングヒップアタック
68、格闘
69、セブン投げる。
70、エレキング地面に激突
71、セブンしっぽ持つ
72、振り回すUP
73、セブンFS振り回し投げる。
74、山に激突しすぐ起きる*起きる部分は激突から逆回
ココまでの対セブンのエレキングSアクターなく1人芝居。
75、しっぽ避ける>回転>立つセブン
76、しっぽUP空抜け
77、セブンしっぽ低い位置飛ぶ。
78、エレキング振向く
(U警備隊)
79、2FS*しっぽは岩で隠している為>FSでは組まない(組めない)
(ホーク2号・ピット)
80、セブンなぜか?しっぽに巻かれてる。2FS電気攻撃。
81、セブンBS 効かない>ほどく。
82、エレキング振向く
83、セブン後へとぶ>構え*マッチカット
84、2FS ビーム>左角破壊
85、セブン狙い変える。
86、エレキングUP角爆発。
87、セブン、アイスラッガーなげる。
88、アイスラッガー>空>パン>光る合成。
89、エレあおり、また下>しっぽ>首斬られる*マッチカット
90、WS首前に落ちる。
91、また上89よりUP目、爆発。

カット数からもミクラス対エレキングはT宝のゴジラ並の丁寧な撮影で
とてもTVとは思えません。
セブンはカット数も撮り方もウルトラマン的な
TV用に戻りますが、少ない尺なのにキャラの存在感は流石です。

 リテイク・エレキング

エレキングは、ご存知の通りアイスラッガー
首や尾を斬られ、角を破壊されて倒されます。
しかし、タロウの前に再生エレキングがあり
の角・目?(向って左)を破壊後に、リテーク*により
角をテープを巻いて補修し、目の部分の輪
(黒とグレー)
急遽書き直された
(ので輪がデカイ)エレキングが居ます。

*リテーク・撮影終了後に技術的・演出・編集などの
問題で再撮影する事。本撮影でテイクNOを重ねる事では無い。

特にウルトラセブンとの格闘はSアクター的には
まったく格闘していない(左下・カット割参照)事や
色からしてもリテイク状態で、79カット目などは
しっぽも無い状態の再リテイク?の可能性もある。

幼獣のカラーと斑点のカラー

  

幼獣のデザイン画は色が塗られていないとあったりしますが
白のまんまで正解だと思います(^^; *作中では濃青。

背中のセンターラインの尻尾まである斑点が紺色(青)
見えるのは、油性マジックで着けた点がプールの影響で
青っぽく見えるだけで、意図的なカラーでは無くエラーです(^^;

笑ってんじゃ~ない!

口もウルトラマンの目のようなベムパターンが
綺麗に並んでいるのですが、水の影響で
ラテックス
変化し口の左右の綺麗なエッジや、形そのものも
変形してしまいます。
よく、横長で笑ったような口の形が絵などでも書かれ
認識されてしまっていますが、
3つのブロック
ズレて凹型になっている口が正しい
エレキングの口です。

ウインダムと親戚?


 高山さんがよく使う得意技の1つに、Sアクター
手を怪獣の手の先まで入れない方法があります。
コレは演出上掴む事などが頻繁に必要じゃ無い場合
Sアクターの頭の上に怪獣の頭が来て、さらに角などがあると
FS(フルショット)で全身を見た時に手が短く
バランスが悪くならないように、意図的に手を長く見せる為の
技で、同時期に制作されたウインダムアイスラッガーより
でっかいトサカを持つ為、1:4の指を持つ手が着けられています。
表面的な色や凹凸などは違っても骨は無いですが
肉?の部分を、高山さんは特に同時期に制作する数体は
週1体のペース確保の為に、なんどか試みています。
*Sアクターのかなり高い所に頭があるレッドキングなども
指が長く作られている為、岩などは左右の
手の平ではさむ用に
持ち上げる動作になってしまいます(^^;

姿を消した2匹目の宇宙恐竜

宇宙恐竜と言うとゼットンの名前がすぐに上がると思いますが
怪獣ではなく恐竜と名前が付いていて特別ですけども
ウルトラマンには宇宙怪獣はベムラー、ドラコ、キーラ、サイゴが居て
他は宇宙からは宇宙人としています。*ギャンゴは除く。
*1期の頃は、怪獣、怪物の他に印刷物などは怪獣と恐竜
同じように扱い、まとめて特集したり1冊にしている事も多く
ハッキリと区別されて無い時期がありました。

 

デザイン画ではエレキングの角は画面のように大きくもなく
形も違いぜんぜん違い、色も黒くなくです。Bのような
足ヒレ型のアンテナに、丸い関節のようなモノが付いています。
アンテナならばピット星人が円盤のメカで操縦するのが解る。
ゼットンの角にも同じような丸い関節?がありAデザイン画的に
白が銀(アンテナ)ならばかなり似た存在で、ゼットンはあまり角が
動きませんが動く設定でした。*本来火の玉を吐く時に動く

完成パーツの形だけで言えばエレキングの角はヒレのような
部分があったりして、むしろ
ゼットンに似ています。

 

Bとまったく同じ形のモノが、キーラの頭にも書かれていて
キーラは完成スーツにそのままBが造型されていますので
偶然にしては、形が似すぎていて意図的にエレキング
移植したとしか考えられません。
容姿からだけするとキーラよりゼットンの方が星人と言ってもいい
容姿をしていて、サイゴキーラの方が宇宙恐竜ですが
「怪獣」ブーム中のブランドの力関係で、局や他から怪獣に見える
キーラエレキングにネーミングする事に反対を受け、宇宙人に見える
ゼットンには、逆に許されたしまった区分名では無いかと思います。
しかし、残されたデザイン画で言えばキーラ・ゼットンに続く
3代目か?条件的(飼う)にならエレキングは、2代目宇宙恐竜でも
おかしくなく…今からしたら面白かったかもしれません♪
ただ、当時の子供の意見としたら「怪獣」と言う音の響に見えない
力があったのも事実です。

尻尾のひみつ

3m

エレキングには2種類の尻尾が用意されていました。
1つはFSのスチールなどにもよくある、ちゃんと結合した3m強の長さの尻尾で
もう1つは、ミクラスウルトラセブンに放電攻撃をする為に巻きつく長さの6m強もある尻尾です。
一番解りやすいのはカット割の65の後のウルトラホーク1号対エレキングのシーンで
シーン頭にホークに近ずき歩くエレキングは3mエレキングで、その後対決するエレキングは6mエレキングです。
簡単に言えば3mは歩けて、6mは歩けません(^^; *3mは先の方が太く6mの方が細い部分が長くある。
ただ6mのエレキングの尻尾もせっかくだから操演して動かしてみたのが対ホーク1号のシーンで
エレキング立位置は、ほぼ変わりません(のでエレキングのカットで比較すれば確認できます)が6mの尾は見事に動いています♪

                                       6m

6mの尾は、ほぼ時間的な問題でか?ちゃんと接合されておらず(ラテックスなどの表面処理の意味)
アイスラッガー八つ裂き光輪などの場合と同じ、糸で縫い合わす程度だった為
電気放電のカットやカット割の79のような横位置からだと手前に岩などを置いて接合部を隠しています。
*アイスラッガーなどの斬る部分は、凧糸などが通る穴の金網をお互いのパーツの結合部分に埋め込み
その網の部分に弱い糸を通してピアノ線で同時に引っ張ります。

ウルトラセブンに放電するカットも、いつのまにか(スタッフが(^^;)セブンに巻きついてるカットで接合部(尻)を
セブンに(カメラの陰)向けていますが、ポーズも手の形も尻尾の放電の先輩チャメゴンのまんまの
ポーズと手の動きになっています…流石宇宙怪獣♪(^^;

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