特撮は時間とお金がかかるものと言われます。その通りです(^^; フィルム時代に週1本の特撮番組を送り出し 制作順を追ってクオリティと共に時間とも戦った 工夫や制作順を、あまり細かくは紹介できませんが 項目事に制作のどの工程のモノか把握してもらえればと思います。 プロデュサーになったつもりでオンエアからどれくらい前に何をしたら いいのか?考えて見ても面白いかもしれません。 ホントに制作するとさらにトラブルだらけです♪(^^;
*番組企画時からではなく1本(2本同時撮影)の制作工程と しての、撮影に関係する工程を紹介します。左の表で経過を測ってみてください。
シナリオ・プロット 台本の骨組みから通常の作品ならば入るのですが ウルトラの場合(とくに1期)着ぐるみが先にあったり (再登場)改造や借り物など、怪獣などの制約からの出発であったり 怪獣の特徴や特撮のアイディアが軸で台本が描かれる回も多い。 着ぐるみ制作を先行させたい為この段階から台本制作中に デザイン画など出きるだけはやく入れます。
シナリオハンティング(シナハン) 本来は話の舞台イメージの為。 シナリオで使える場所(撮影に進めるか?)のあたりを つけたり交渉なども、この段階から行なう事もある。ライターの気分転換旅行な場合も(^^;?
怪獣制作(星人) タイプや同型などで異なりますが、平均1体1週間で考え発注。 複数登場は、再登場、改造などで調整してスケジュールを考えます。 *怪獣無法地帯なども、ぺギラ・バラゴン・ガラモンの改造でレッドキングの着ぐるみのみ。 ミニチュア制作 壊し用やその回に(から)登場するミニチュアの制作も発注しておく。
絵コンテ 台本がOKになると怪獣の制作と平行して絵コンテが 描かれます、ドラマ班は無い場合もありますが 特撮班はラフなモノだとしても制作します。
バルンガの特技コンテ
ロケハン ロケの場所を決める。(許可の居る所は取る) 特撮班と合成カットの打ち合わせや、機材、車輌、火薬などの 操演などの下準備。クールが進んで時間が無いと特撮班はおまかせになる事も(^^;
本編撮影(ドラマ部分) 時間短縮コスト削減の為に2本(3本)同時に撮影します。 天候や車輌のトラブルなどあっても、特撮よりは時間に余裕が少しあります。(^^; セット撮影 作戦室やコックピットなど撮影所のスケジュールなどで ロケと前後する場合もありますが、ロケよりお金のかかる撮影なので優先されます。 参考・現在の砧の1ステを借りると1日基本16万円(~17時まで)~1時間・2万円 プラス建込・空調・電気・水道が必要。~0時までの使用で30万以上にもなる。
特撮撮影 全てはここの時点に、ミニチュア、怪獣などが準備出来ていないと いけないので、これより前の動きが普通の制作と異なり逆算した部分があります。 撮影開始までには、美術さんのセットも組まれてないとカメラは廻らないので 前日(徹夜)で建込がなされる事もあります。 撮影が開始されても、ライティング以外にもピアノ線消しや、セッティング待ちが続き 失敗が出来ないのでテストが繰り返えされ時間を消費しますがココがメインなので 全国の子供達の為にも踏ん張り所です。 特撮班ロケ 主に合成カットで光線銃(特撮セットがきつくなると火薬が多い(^^;)や 怪獣との上下合成、ヒーローの手に乗るなどがあります。 ヒーローや怪獣(星人)がロケに飛び出すのもありますが・・・これも・・・ 2クール~は、時間的に厳しい状況に・・・(^^;
現像・試写(特撮) 通称ラッシュと言いセット解体前に出来たらすぐに見る。 この時点でリテークが出れば撮影やり直しに戻り、時には ミニチュアや怪獣の補修までさかのぼらなければいけなく 当然セットをチェンジできないで待ち状態。 現像・試写(本編) こちらもラッシュ、こちらはそんなにリテークが出る事はないですが 夜間撮影やスモークを使ったものなどは、出る確立が高くなります。 1期は白黒受像機(TV)が多いので暗いシーンは特に輪郭などに気を使ったそうです。 特撮班ロケ・試写 素材として調整でどうにもならないズレなどはリテークが出やすく 時間的に合成無しになるなどの再撮もある。
合成 光学合成は、オプチカルプリンター1200はTBSに買い取ってもらったので 水・土曜の午前9~12時までしか使用できなかったそうです。 スクリーンプロセスも1クール目(オンエア前)が多く マット画合成も使用されてますが、少ないカット数で一番スケジュールの 時間を取りたいのにシワ寄せがきてしまう工程です。
アフレコ 予備編集が終わってるのは初めの数本と言うのは共通してるようで(^^; 特撮や合成にギリギリまで時間をかけてる為で、特撮部分の無い画面で イメージを膨らませ声入れを1年間もする特殊なアフレコです。 ゲストの方などは画面も飛ぶし爆発音も無いので驚く方も居たそうです。 本編集 ネガ編集と音や音楽も付けられ迫力も増しますが、この工程は時間を 削る事はほとんど不可能でココの予定を動かしてはいけないのですが・・・ 色彩調整 1クールは綺麗でも少しずつ画面が緑だと光線を撃つぞ!と解ってしまうように 16mmへの変換調整の時間が犠牲になっている作品もある・・・
初号試写 TV局やスポンサーなども見る完成体で、ここで大きなリテークが 出ると大変な事になります。帰マンには1本有名なのがあります(^^; 納品 放映当日に納品した事まであるそうで、そこまで行くと素晴らしい気さえします。(^^;
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年間目標前程のストック話
1週間で1本のオンエアに対して1週間に1本の制作はできないのが解ると思います。 全体で10日で1本の予定で進めるのですが・・・ 防衛隊の飛行機の発進カットやヒーローの必殺技などバンクカットと言う合理的な使い廻し などのカットも少しはあるもののオンエア前に話数としての貯金(ストック)が必要で ウルトラマンの場合は、約9本のストックでオンエアに入っています。 7月10日の「ウルトラマン誕生!」は、Qの「あけてくれ!」に怪獣が出なく 難解な話の為と言う理由が前に出ていますが、実はその理由よりも割合が上なのは であって10日の時にはウルトラマンの完成話が無い訳ではありません。 上映もされてますし(^^;
*あけてくれ!は局と事前に怪獣路線変更で再放送時オンエアの了解済であって 前夜祭の意味としては、ストック話の時間確保であった。 セブンはそれ以上欲しかったのですが、クオリティを上げた為と検討話などの為 8.5本ほどの同じくらいのストックでのオンエア突入になってしまっています。
工夫と短縮
表図はあくまで、巨大ヒーローの30分番組の平均的な制作順の例なので ウルトラマンの「悪魔はふたたび」などは特撮に2週間かかっていますし(リテークが出て) 帰ってきたウルトラマン「怪獣使いと少年」は逆に2日で撮影したり(格闘が長廻し) 特撮の撮影時間(日)も、一定ではありません。 本編とのバランスも、ロケがほとんど無いものや遠方のロケがあったり 合成が多いもの、少ないものなど毎回平均的な進行が出来る訳ではなく 着ぐるみの改造も予算を抑える目的が一般的に言われますが、もう1つは制作全体での 時間短縮の意味も大きく、シナリオの準備稿辺りから撮影開始(特撮)までに約1週間で、 ほとんどの映るモノを準備する為、全体の工程の中で短縮できる部分に圧がかかります。 *セブン円盤が来た!で100機の円盤を1週間で用意したのは有名(^^;
フィルム量
お金のかかる理由の1つにフィルムの量があります。 特撮では巨大差の表現にハイスピード撮影(*キャメラ項目参照)が 使用されます。(35mm) ウルトラQやウルトラセブンの回転タイトルなどは20倍の逆回転で 撮影され同じく水や火の撮影には、この20倍の速度が使用されます。* *理想ではずっと使用したい。(^^;各シリーズ後半はあまり倍率を上げれてません。 単純計算でわずか3分の特撮シーンを全て20倍で撮るとそれだけで60分も35mmフィルムを 使用していまう事になります。 さらに合成でマスクや焼き着けなどで2倍・3倍とフィルムが必要になる為たった3分に 思えるかもしれない特撮部分も、ハイスピードや合成だけでも、凄いフィルムが使われる訳です。
台本 台本と言うのは、決定稿でも多い場合は3種あります。 (もちろん凄い予算が無い番組や脚本にウエイトを置かないものは別) 1.普通の役者さんに渡す台本。 2.撮台と呼ばれる撮影台本 スタッフ稿とも言われカット割りや 特機(クレーン・雨など)特殊な編集指示(特撮カット)などが記載 されたもので、スタッフにのみ配られます。(準備しやすく1冊で2話分だったりします。) 3.アフレコ台本 アフレコ作品(今だとアニメは必ず)アフレコで台詞を入れる為の台本で 撮台とコレだけの事もありますが、基本的に1>2>3の順で出来るので 台詞などが追加・変更されてたりシーンが無くなったり、足されたりもします。 その他に完成台本では無いですが、準備稿と言うのが少数ですが刷られたりもします。
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