毎日新報 号外-5            光跡 

  火星怪獣ナメゴン


ナメゴンは、作中は火星怪獣と言う名しかありません。勿論ナメクジの怪獣と言う事なのですが…
観て解るようにアシカ科のようにヒレを備え、アシカのように其処から頭を上方向に保つ
姿勢を取る怪獣です。 なので各部名称は其の2体に沿う部分名から下図のように記載します。

目、触角、口(ヒゲ)、ヒレ、イボ、腹足、尻尾

また、カラーライズされたナメゴンは*修正が加えられているので基本、白黒の画面を元に記載します。
*白黒で黒い部分などがカラーは他の白いトーン(色)に変更されています。

モチーフ・マダラコウラナメクジ+アシカ科の動物

 制作

佐々木明

人形工房

 

 

 

 

 

 

 

タイプ①②③


①~③タイプは、ウルトラマンのA、B、Cタイプとは違い、大別した「状態」と言う区分けで
個体は基本1つですが、ナメゴンの特撮は、小さなTVサイズと大きな怪獣と言う
反する表現を創意工夫のした第1歩の跡でもあり、後のシリーズの怪獣撮影のベースになっています。

ナメゴンは作中では洞窟に居た1匹目から始まりますが、撮影は一の谷研究所の庭の
*2匹目から始まり、大別すると3区分出来るので、その特徴と主な登場シーンを記載します。

*作品世界は2匹登場しますが物理的には1体です(^^;

ナメゴン・タイプ①

特徴
触角が、*長くて柔軟に動きシワが殆ど無い。*目玉のサイズで約6個の長さ。
目の輪郭が半球のパーツラインで、後方とハッキリ分かれていて目の後方部分が丸い。
首に段があり、後方に2つのイボがある。★1左↓
口の周りのヒゲも、まだ綺麗な状態です。

ボディは、まだギミックが入ってないのか?お腹…背中がパンパンに丸く
後のマルサンのソフビのような体です。
また、光沢感を出す幾つかの溶剤によって光るよりも染みて黒ぽくみえるカット(角度)が在る。


主な登場シーン
2匹目ナメゴンのシーンと、洞窟から出てくるシーン。産まれた直後数カット。

ナメゴン・タイプ②
特徴
洞窟の上部との距離や当時の*TVサイズ的に目だけが高いのを合わすと
大きいはずの怪獣が画面で小さくなってしまうのと、目が揺れすぎてしまうと目から出す光線
合成にも不都合なので、首から上が引き離されて
触角に針金を入れて、*角度が着けられようになります。
その結果的と言うだけでなく、画面サイズ的にも少し触角が*短くなります。
横からが解りやすいですが、工夫(改造)の跡が★2首と顔・後頭部の間に見られます。

*外で逃げた一同が一安心していると、ユリちゃんが廻り込んでナメゴンを見つけたカットは
目玉だけがフレームの外になってしまいます。高さとTVサイズの中で大きな怪獣を表現する
創意工夫の最初の一歩(改造)が必要になる源のカットです。

*角度を着けた内側には表面ラテックスのシワが多数発生します。
*目玉のサイズで約4.5個の長さです。

主な登場シーン 洞窟の内部のちゃんらが入った後のシーン。*産まれた直後数カット。

ナメゴン・タイプ③
特徴
目の周辺から触角が、黒く(濃茶)なり目のクリアパーツの方に
塗装が*ハミ出て来ていて、目の後ろが平な形になっています。

電球のメンテナンスの都合か、目玉後が平になってしまい、★1右首の後方のイボも1つ無くなり
塗装も、其の際ハゲたと思われますが・・・ラシッュ
(すでに現像済フィルム)夜間
ナメゴンを
見たからか?体の斑点の*濃い茶色が、目~触角など切り離した首上に多く塗られます。
*ハミでたのが意図的か?ラフだからかは解りませんが、結果現存するパーツなので
色の特定に大きく貢献する事になります(^^;

*光沢感を出す幾つかの溶剤によって光るよりも染みて黒ぽくみえるカット(角度)が在る。

主な登場シーン 洞窟の外のシーン・光線発射。

 

★1
ナメゴン①②には、まだ初期造形の段が首?近辺にあり
後方のイボ上から2つの部分が、襟巻のように見える
段があります。
洞穴から出た後方からの合成カット(ナメゴンが白ぽい)が確認しやすい。
タイプ③の段階では、イボの上1つが無くなり、段もほとんど無くなってしまいます。
順ちゃんが弾切れでピストルを投げた後の後方からの
カットが良く解ります。

★2

首と、首から上の前後に
メンテ改造の跡が出ます。

ナメゴンの幅?

真上だと横幅が在るのが解ります。
背中のイボの突起も
よく見ると、大きくて、高さも在り
比較的規則正しく並んでいます。
頭身と言うか…頭部の対比から
全長は頭の6.5倍の長さが在りますが
殆ど5倍くらいで表現されています。

撮影的にはラストの海水(撮影プール)に落とした事も在り現存してる唯一の部分です。

目の素材は*アクリルですが、目のセンターの部分は作中映像では発光している為に
解り難いですけども、スイッチを切ってるスチールを見ると
*レンズがハメ込まれている時↑図左
メンテ中なのか?センター部分が外れてる↑図中スチールがあります。
*FRPより少し高価ですが透明度や光沢感が在り耐久性も強い。
*無点灯で下向きのナメゴンに、ハッキリレンズが在るのが解るスチールが存在します。
ハメられていても何も無いように見える写真もあります。

また現存する目のパーツのセンターには、公表されているようにFRPで無いのに
何故か?ガラスクロス↑図右が見られますが、作中の発光時には在るはずが無く
当時着けられたとしたら撮影的(順)ラストの海に落ちるカットで
内部ギミックと共に電球も外した時に、仮に着けたとは考えられますが・・・
作中の映像的には映っているパーツ(素材)では在りません。

タイプ②③は、図★2のようなメンテ跡があるように発光ギミックのメンテナンスを

内側・外側どちらから行なうかを考慮するのは、ウルトラマンの目や
カラータイマーの外にネジを配する事、Sアクターの入らないクール星人などの怪獣の
後頭部などにも、メンテ用の扉を設けるなど、その後の造形に繋がっていきます。

 

 

長さとサイズ

ナメゴンは、前方向から撮ったカットが多く、ソフビのディフォルメされたイメージが強いからか
かなり全長が短く表現される事があり、同じく前部分が多く映るのでボディも細く表現されますが
頭部のサイズを基準にすると、フィギュアなどよりも、けっこう長く幅のあるボディをしています。
プレミアムBlu-ray BOX Ⅰの特典フィギュアは、新しいのも在り良く出来ていますが
タイプ①~③の状態を1つにするのは難しいので仕方無いですが、ナメゴンの形としては過去のモノとは一線を画すので嬉しい1体です☆

サイズは、設定では身長30メートルと在りますが…どこからどこまで?の
長さなのか・・・解りません(^^;
設定は別にして、撮影用のナメゴンは現存する目のパーツの径が約8cmなので
そこから画像で分析すると、高さ(目の上からヒレ下部分)が約95cm
全長(ヒレ上のボディ~尻尾の最後尾)が約125cm
背中の山なりの最も高い部分までの高さが約35cm(可動で変化)になります。

 

 

NGシーン(セット) OK放映カット

 

洞窟と触角★出現


ナメゴンは、最初(放映はゴメス・リトラ)の怪獣で
アンバランス時には、悪魔ッ子や変身、あけてくれ!などより
宣材になると思われたのか、NGテークなどの写真も比較的多くあります。
洞窟から出るカットのリテークのスチールも残っていて
目と触角の長さと画面サイズを、考え工夫しているのが解ります。

●NGテーク
洞窟の出てくる穴の形や向かって左のすぐ上に在るコブ状の岩
同じですが、目が穴の上部で出そうとしている(穴の形)のが解ります。

OKシーン・放映では内部から洞窟を崩すカットは目玉が上ですが
次のカットで目玉ではなく、頭の部分が穴の上になっています。
つまりカット間に登りながら出てきてると言う動きを想像させる
カット割りの画の為に、洞窟のセットの上方を削り目玉の上が
出てきはじめると、やや右廻りの下方向から空抜けに撮った
目の後ろがになるように撮っています。

後に、レッドキングⅡやゴモラがカッコよく岩山から出てくる
シーンが自然に見えるのも、ナメゴンが切り拓いた跡が在ります。

歩行ギミック
歩行ギミックは、『モスラ対ゴジラ』『三大怪獣 地球最大の決戦』のモスラの幼虫のギミック
使用してるのは有名ですが、作中的には「歩行」・・・なのかもですが(^^; 撮影的には前身するアクション
背中がモコモコして前進してる運動として、アクションは別なので分けて記載します。


●前進アクションモスラの幼虫は、人間が入るタイプから数種在りますが、基本的に直進の前進が主なので
このサイズではギミックと言っても、コマ(車輪)が着いているモノを、ピアノ線で*引っ張っているだけで
このナメゴンも、そのギミック?と同じだと思われます。*逆に速度を細かく調整できモーターより生物らしい。
と言うのも、ナメゴンは前進カットが少なく…フルサイズ(全身)の前進は無いに等しいのですけども
前進してるカットは、モスラと同じく引いてる操演のピアノ線を見えないように手前に岩などを配置しています。



●モコモコアクション・背中(?)が、交互にモコモコ盛り上がる表現で
前進してるアクションを表現するギミックは
内部にある逆U字型(前から見ると逆U・図水色)のパーツが変則回転運動で押し上げる事を繰り返しています。
この回転は電動です。…ですが、このアクションもナメゴンには不自然なのか?解るカットは短いのが
少しある程度なので、あまりナメゴンのアクションと=な認識は少ないかもしれません?
図は、モコモコのみの解説なので簡略で3つの逆U(水色部分パーツ)で書いてますが
モスラは4つ以上在り、サイズや撮影の使用で異なります。

 

●リフトアクション・モスラの幼虫は、主に糸を吐く時に体の前の方を上に持ち上げて
吐くアクションをします。このギミックも一応ナメゴンにも内蔵されていたようですが…

   
ナメゴンは横から見ると、尻尾と首?赤線の2箇所にシワが多いのが解ります。
1つは洞窟の中で、産まれた後に進むカットで首から前がグイ~と伸びるカット
のように撮っていて、このギミックと、頭頂部のピアノ線で動かしているのが解ります。
の尻尾の方のシワは、このリフトするギミックを前後逆に入れて、動かそうとしたのかと思いますが
(撮影はしたのかも?)完成画面では動きは確認出来ませんでした。
ですが、表面には可動シワ的なシワやスジと言えるくらいの跡は見られます。
*
このシーンは、背中のモコモコは無いのでアシカの動きに近くハイスピード(再生スロー)でも無く
逆に、アシカ的な動きとしては凄くリアルですが・・・ナメクジやモスラの幼虫的には見えません。
*ディアゴスティー二公式データファイルのナメゴンの頁にも、体は伸びてないですが
卵が映ったNGシーンの写真が掲載されています。

ボディ形状

其の可動の為か、ナメゴンのボディは上から見て
アメフトボールのような
楕円ではなく、腹足のヒレで少し解り難いものの
2つのクビレ
在るボディです。

おたまじゃくし光線と

謎の爆発。

 

 怪光線の謎?

ナメゴンの目から出す光線は、おたまじゃくしのような形をしてい
て3~7列くらいで照射されます。
ただ設定的に名前は無く、秋田書店の図鑑では、破壊光線を出しなんでも溶かしてしまう。
と、あり 小学館の図鑑では光線では無く溶解液を発射してなんでも溶かす。
テレビマガジンDXでは、目からの光線をあびると固くなって死ぬとある。
朝日ソノラマ・宇宙船の怪獣事典では、目から出す殺人光線。と、なっていて
ディアゴスティーニのオフィシャルデータファイルでは怪光線で泥棒を硬直死させ
別に10万度のナメゴン液を出す。
と、それぞれ似てるとも言え・・・違うとも言えます。

ですが、作中では固める光線の描写も無く(固まった人が映る)溶ける描写も無いので・・・
ハッキリさせる事は難しく、近年の2種出すという…少し苦しい設定に
なるのかも
しれませんが、2種の名前を設定したら少しは良いかと思います。(^^;

関連して謎の爆発カットが、この作品に2つ出てきます。

1つは外に出たナメゴンを淳ちゃんがピストルで撃つ後に
ナメゴンの手前の足元で爆発が起きるカットが在り、音はピストルの高い音がします。
規模的にも方角的にもピストルの弾着には大きい爆発です。

もう1つは、淳ちゃんが1人で逃げナメゴンの後から撮ったカットで
前方に謎の爆発が起きます。

コレは、ナメゴンの光線の爆発(弾着)で間違いないと思いますが
光線が白くて見えないか?合成してないか?のどちらかだと思われます。
光線を出すアップは、目の周辺が黒いタイプである事からも…見えない合成だった為に
光線を出すカットは、後に撮っている(
撮りなおしてる)可能性が高いと思います。
どちらのしても、設定的にもメイキング的にも謎が多い解光線です。

落下するナメゴン
落下するナメゴンは、ミニチュアと言う方も在りますが、水しぶきからみてもサイズの項目に記載した
  高さ約95cm、全長約125cm程のサイズに合いますので、大プールのホリゾントの上か
クレーンの上から撮影用のギミックを抜いて、重りを入れて落としていると思います。

なので、2匹目のナメゴンが撮影的には最初で1匹目のラストが、ナメゴンのラストカットと言う
1体で2体出る作品としても面白い撮影順なのが窺えます。

ネーミングと退治方法?

巻末のゲルニカの解説例には
モスラが載っています。

直接的には、ナメクジと怪獣らしい「○○ゴン」ゴンの合体した名前ですが
個人的には、ストーリーもSF作品らしく、どこかコッケイな星新一的なタッチがする話で
大好きな作品ですけども、登場モンスターは鉄腕アトム*ゲル二カがモチーフだと思います。
*アトム・アニメでは4話(1963年)のモンスターで、ピカソの有名な代表作
スペインがドイツ軍の激しい爆撃を受けた街で、その様子を描いた絵画。


巨大カタツムリ、ゲルニカが溶解液で街を壊すのに人間の武器が役立たない。
しかし最後にアトムが倉庫の塩で溶かして倒す話で「宇宙戦争(映画1953)」のような
皮肉でコッケイなラストで終わります。
ナメゴンの設定で「溶解液を発射してなんでも溶かす。」と言うのを記載しなくなるのは
偶然にしてもゲルニカと同じになるからでは無いでしょうか?

ナメクジも、かたつむりも、塩で溶けますが…
厳密には、どちらも溶けるのではなくて体の殆どが水分なので、塩に水分を奪われ小さくなり…
脱水を起こして死ぬのが、溶けているように見える事から…そう言われます。

子供の頃、試した人も居るかと思いますけども?(^^;
実際には、ナメクジを死に至らしめるには、で体が見えなくなるくらいに、かなり盛らないと
効果がありませんので、アトムの退治方法は効果がありそうです。
一方、海水と言うのは泳いだ事や飲んでしまった事がある人も多いと思いますけども
塩分濃度は3%くらいなので、1リットルの水に30g入れて飲んでも、しょぱくて吐く程でも無く
とても、ナメクジを溶かす事は出来ません。 また塩と同時にも与えてしまっては
攻撃しながら、復活の呪文や復活アイテムも、浴びせてるような反するモノですから
海水や食塩水を用意して溶けるナメゴンは…ナメクジでは無いのかもしれません?(^^;

逆に、放射能で大きくなったゲルニカの解説に、カッパコミック版ではモスラの写真付きで
解説され、巨大生物の突然変異や巨大ネズミ、モスラに合わせて蚕の事などの
アンバランスな世界が書かれています。

 

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