すべてはクライマックスの為に
怪獣人気で必ず上位に来るゴモラはレッドキングと人気を2分する ウルトラマンを代表する怪獣の1体で、デザイン的には QちゃんはレッドキングがNO.1だと思いますが 設定的には、岩を足に落として悲鳴をあげ 数分で軽くウルトラマンに2度も破れるレッドキングと 2千mから落下しても死なず、ウルトラマンを苦しめ 1度では倒せない差は大きく、ゴモラをNO.1と言う声も多い。
ゴモラは爪がない
そんな人気のあるカッコイイゴモラは 実は爪がありません!「あるじゃん」と言われれば ありますが(^^; ウルトラQでは気にする事も無かった「対戦」が ウルトラマンのメインなので、ゴモラ前の回でも工夫されている部分が 爪で、ゴジラを基本とする怪獣造型ではFRPで爪を造ってきましたが ウルトラマンは丸腰でマグマ大使より薄いスーツなので、手袋などは 手術用ですから、防御的に言えば素肌と変らないくらい薄く 軍手より弱いので、FRPの爪はスーツの破損の問題もありますが 1966年に古谷さんのような体型のSアクターを探す事など不可能に 近い為、高山さんはSアクターの安全に気を使い ゴモラの爪は、ラテックスにペイントしただけの柔らかいモノが 両手、両足に採用されています。*古谷敏・ウルトラマンのSアクター なのでイメージ的に、カッコイイゴモラもディテール的には フニャフニャの爪で、あまりカッコよくはありません(^^;
さらに、ペイントした爪は引火しやすい為に 防衛隊の攻撃後の右手の爪は黒コゲの状態に なったスチールが残っています。 肘にある角もラテックスのペイントなので、初回の特撮セット ジョンスン島では、ペイントがちゃんとありますが 大阪空輸後は、ペイントが落ちてきてしまった事から なぜか?フィギュアなどでは指の爪は白く、肘の角は 茶色系のままのゴモラが多いです(^^;
その肘があるゴモラの腕は、他の部分よりシワが多く たるみがあるのは、高山さんが手の動きを機敏にする時に使う *肉抜きで、ゴモラは火や光線を吐かないで、2週分の ウルトラマンとの格闘をして、土を掘る動作などが要求され 最後の大阪城の石膏模型を1発でミスなく壊すと言う 責務を背負っていたので、腕の動きは大事でした。 その為に、ゴモラは手首はSアクターに合う状態なので 角度によっては手首が絞まった腕に見えます。 *肉・怪獣のスーツ内のウレタン。肉抜き>ラテックスのみ。 さらに天守閣の石膏模型は厚みもある為に、なぐりや 固いモノを持って、1回でOKにする必要があったので手首から 先がかなり大きく造られています。*なぐり・トンカチやハンマー。 ちなみにSアクターが入って居ない時には、腕が凄く長く延びます(^^;
*大阪城破壊のシーンは、普通のビルでも石膏模型は高いですが さらに高価で、撮影も35mmのハイスピード撮影も交えた 複数台のカメラを廻す事から、予算やスケジュール的に 失敗は絶対に許されないカットでした。
蹴爪とチャックの関係
ゴモラの足には、鳥類や牛にある蹴爪と呼ばれる後爪がありますが フィギア化などされとなぜか?真後に着いていますけども 実際には斜め後ろの後方に着いています。 ゴモラがゴジラ歩きで外向きに開いて歩いたり、土を掘るのに 後足を地面に着けて開くと、真後に蹴爪があるように見える カットもあれば、爪先が内側を向いてると真横に蹴爪があるように 見えるカットもありますが、斜め後方が正しい位置です。 成田さんのデザイン画でもなぜか?最初は内側に蹴爪を 書いていますけども、斜め後方の位置に修正し 高山さんも忠実な位置に造型されています。 コレは怪獣の1P(ピース)*スーツに入ったり、側に付いて出入りを 手伝ったりした方には、直解る事ですがゴモラは背中にある 帯状のモールドの左側にチャックがあり、ほぼ真上から出入り しないとならない、出入りし難い部類のスーツで、このタイプは 出る時に側近の人に、かかとを踏んで貰わないと出れない> 足が抜けないので、かかとには装飾な無くSアクターの足に 近い位置が踏めるようでないと、撮影でスタジオにエアコンも無い 時代に、フィルム感度もまだ良くなく、照明も今のように小型で 熱を発しないタイプはまだ無く、大型で熱が発生する条件下では とても耐えられない時代でした。 *1P・前身がほぼ1つのパーツのスーツ、頭部や腰から分かれる ブースカやミラーマンは2Pのスーツ。
邪魔モノ尻尾斬り!
邪魔モノは尻尾を斬られると言うのは、大怪獣ゴモラでも例外では無く 大阪城破壊のシーンでは、操演でのスロー(ハイスピード)撮影で 本来は生命感の表現に最も効果がある尻尾の動きも、NGが出る可能性が 高くなったり、撮影スピードを変えると*編集でのつながりがよく無い 事や、さらに防衛隊の集中砲火の煙(白)の前ではピアノ線が 露出してしまい隠しきれない事が、ウルトラQからの経験で 予測出来た為、時間や予算に余裕が無い上に天守閣の石膏模型は 1発でOKにしなければいけない以上、ゴモラの尻尾は邪魔モノと判断。 *合成以外は基本特撮も16mmのノーマル速度~若干速度を 上げる事もあるが、35mmのハイスピード(通常モーター)とだと 重量感なども変って見えてしまう。 画的には大阪城と尻尾のあるカッコイイ怪獣を、1フレームに納めたい ところですが、全てはクライマックスの天守閣の大破壊の成功の為 何としても科特隊は、大阪城決戦前にゴモラの尻尾を斬る必要があり マルス133で見事切断!するも…画的な未練から尻尾が単独で暴走する エピソードまで作られ、制作サンドの気持ちが伝わりますが… そのかいあって、今ではちゃんと対後輩ウルトラマンやゲーム世界では ゴモラの強力な武器として描かれ、ウルトラマンを苦しめています☆
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W変身の最強怪獣のはずが…
ゴモラは、レッドキングやバルタンなどのように 人気怪獣として再登場を予定して保管されて来ましたが マーチャン的にも台本的にもゴモラの再登場より 別の怪獣にして出す事になりザラガスに変身(改造)します。 改造と言っても視聴率は右肩上がりなので、予算よりも 時間の確保を主にした改造なので「レッドキング>アボラス」 のような首を替えるだけでは無く、首から上と尻尾は新造 背中や胸、腹部などに電飾+変身前の甲羅(カバー)が付き 足もリニューアルされると言う大幅な改造怪獣として登場します。 設定的にも、ウルトラマンは後半になるとツィフォン以後 33話に宇宙人4体や、ジェロニモンの怪獣復活、宇宙を舞台にと 規模が大きな設定が増える中の1本として、ザラガスの設定も 攻撃を受ければ受けるほど強くなると言う本来は 最強の怪獣としか言えないような凄い設定の怪獣でした…
ゴモラは、人気があるのでよくデザインなども手離しで賞賛 された文が多い怪獣ですが、もし本当の生物だとしたらば 姿勢を低くして頭部の3本の角で、ウルトラマンに突進して 来るはずですが…当然それは視界も悪いゴモラだと 古谷さんが危険なので、爪の無い手足で戦う事になります。 前半は尻尾を武器にするので腰の位置や フットワークを確保する必要がある為に横から見ると足は細く バランス的にいは、生物としてもあまり良くははありません(^^; フィギアなどは、もっと重厚感あるバランスのいい体型に なっていますが、スーツのゴモラはあくまで台本的な 動きを重視した造りに撤しています。 逆にその事が「形」としての見せかけのカッコ良さでは無い 岩山からの出現や、ウルトラマンとの格闘、大阪城の激破と言う 大怪獣として本当のアクションを力いっぱい見せるカッコ良さから 長年ウルトラ怪獣の代表として子供達の人気を得る事になります。
頭部やゴモラと違い操演を必要としない短い尻尾が着けられた ザラガスは意外にも、全体フォルムのバランスはゴモラよりも カッコいい怪獣になっています。 ゴモラは鼻先の角も、安全性からフィギュアなどよりも先が 丸いカッコとしてはよく無い角でしたが、それを経験として 先があまりとがっていなくても、存在感のある角も造られています。
腹部の造型とデザイン
ゴモラの腹部には、ウレタンのガラモン…ウルトラマンなので ピグモン用に作られた予備*を、茶に塗り装着されていますが デザイン画ではザラガスの腹部と同じ、キューブ型のモノが 書かれています。造型的に言えば四角にカットする方が楽ですから 時間の関係で、ピグモンの予備を使ったと見られます。 *ピグモンはセットでは無く外ロケが多いので、メンテナンス用の 現場補修用に予備のトゲが多く作られていたそうです。
ザラガスの時に、成田さんがもう1度キューブに拘り再デザイン したかと言うと…そうでも無く、自身改造怪獣のデザインは 気が乗らないと言ってるように、ザラガスは他の改造怪獣よりも さらにテンションが低く、ゴモラのデザイン画のトレスに 手を入れたモノで、ヒドラ>ギガスのように新たなポーズで デザインしたりせずに、ゴモラの改造と言う事から~そのまま 残した同部分を、今度は保存していたゴモラスーツのトゲが取れて しまって居た事で、キューブ状のウレタンが着けられています。 結局は設定的には最強怪獣のザラガスは、後のブルマァクのソフビも よくない造型ですが、最初のデザインのテンションも今1つ、2つ? 人気が出ない要因の1で、いい部分もあるのに*当時の改造と言う 意味合いと、現在の解釈を思うと惜しい存在の怪獣です。 *当時の意識では改造は、情けないとか恥と思う意識部分が多く 新人監督や局側より、制作側の監督(の下・若い)監督の 怪獣に使われ、今のように工夫とかアイディアのような 前向きな解釈は少なかった。
怪獣のDNA
ゴジラ以後、怪獣の口はワニやライオンが吠えるように 牙や角の無い人間には、太古の獣への恐怖のDNAがある為 迫力を出す箇所として、工夫されてきた所で どうしても大きな口にすると下アゴが、板をパタパタしたように 開閉に機敏な動きが難しく、筋肉で動いて吠えてる感じに ならないのと、アゴの付け根や喉の表現が難しいとされてきましたが ケムラー、テレスドンのDNAを受けて、かなり完成度の高い口を 持った怪獣にザラガスは仕上がっていて、頭部だけ見ると かなりカッコイイ怪獣です♪ 一方ゴモラの角があっても使わず、手が大きく腕がよく動くDNAは キーラを経由して、セブンのミクラスに受け継がれて行きます。 本当は、あのミクラスの角やゴモラの角で突進する凄い映像も CGの時代になったので見てみたい所です☆
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